2024/02/06 21:19

突然ですが…。

芳香剤や香水に使用される香料には、“ 天然香料 ” と “ 合成香料 ” があるのをご存じでしょうか。

名前は聞いたことあるけど、詳しくはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、それぞれの香料の特徴についてご紹介します。

ぜひ香りの基礎知識として覚えておいていただき、香り選びの参考にしてみてください!


香料とは?

そもそも香料についてあまり知らないよ!という方のために、まずは香料について簡単に。

私たち人間を含めた地球上の多くの動物は生活の中で、嗅覚により様々な香りを感じています。
甘い香りを嗅ぎ分けて食料を見つけたり、天敵に狙われた際に刺激臭を放ったりと、嗅覚は生命活動に欠かせない大きな役割を担っていますよね。

香料とは、簡単に言うとそれら香りを放つ物質のことです。
これらが揮発することで小さな粒子となり、私たち動物の鼻まで届いて香りを感じます。


では、ここからが本題です。

そんな香料には、大きく分類すると “ 天然香料 ” と “ 合成香料 ” の2種類があります。
したがって、一つの香りに感じる芳香剤や香水も、これら香料をいくつも組み合わせて構成しているということです。

今回は、天然香料と合成香料、それぞれの特徴について詳しく見ていきたいと思います。
ご自身の用途に合った香りを選ぶため、違いを知っておきましょう!


まずは天然香料から、特徴をまとめました。
自然由来の香り “ 天然香料 ” 
天然香料とはその名の通り、自然界の動植物から得られる香料のことです。
様々な手法を駆使して香料を抽出しますが、同じ植物でも抽出する部位によって抽出方法、香りが異なるのが特徴です。

また、動物から得られる香料は特別に「動物性香料」と呼ばれ、地球上にはムスク・シベット・カストリウム・アンバーグリスの4種類しかありません。
現在では動物保護の観点からほとんど手に入りませんが、こちらも天然香料の一種です。

抽出された天然香料は、「精油」や「エッセンシャルオイル」とも呼ばれます。


天然香料のメリット
天然香料には、数十~数百種類の香り成分が含まれています。
そのため、合成香料と比べて繊細で奥行きのある香りを感じられることがメリットです。
また、天然香料同士を混合すると奥行きや深みが増すため、初心者でも調香を楽しむことができるというメリットもあります。

最近ではリラックス効果や睡眠の質向上など、天然香料を嗅ぐことで身体の調子が整うといった研究結果もあります。
この天然香料の香りは、現代科学の技術を持ってしても、合成香料などで再現することが難しいと言われています。
ですので、合成香料で構成された香りでは、研究結果にあるような効能を得ることはできません。

壮大な自然が生み出すものは、それほど我々にとって特別なものだということですね。


天然香料のデメリット
天然香料には、大量の原料からごくわずかしか得られないものも多く、全体的に高価なことがデメリットです。
例えば、言わずと知れた香りの王様「ローズ」は、香料1kgを得るために花が3~5tも必要だと言われます。
花で3~5tとなると、いったい何本のバラの花が必要になるのか、ちょっと想像もできないですよね…。

また、天然香料は香りを抽出する気温・時期・抽出手順など、ちょっとした環境の違いでも香りが変化します。
つまり、同じ産地の原料を同じ手法で抽出しても、季節によって香りに少し違いが出てしまいます。

この生き物らしさが精油の醍醐味では?とも思いますが、安定していないという面で今回はデメリットとしておきます。


では次に、合成香料について見ていきましょう。
現代科学の結晶 “ 合成香料 ” 
合成香料とは、科学的な手法で人工的に作られる香料のことです。
イメージとして、皆さんも一度は経験したことあるであろう、理科の実験を想像してもらうと分かりやすいかもしれませんね。

天然香料の中から香り成分を一つだけ取り出したり、石油などを化学反応させて香り成分を作り出すなど、いくつかの作成方法があります。
作成方法でさらに分類すると「単離香料」「半合成香料」「全合成香料」「生合成香料」の4種類に分類することができますが、長くなってしまうので今回は割愛させてください。


合成香料のメリット
合成香料のメリットは、天然香料と比べて香りが強く長続きすることです。
種類も豊富で、天然香料にはないような香りを合成することも出来ます。

また、科学的な生産方法のため、自然災害や気候などの外的要因に影響されにくく、安定して製造できます。
そのため、天然香料より大量に同じものを作れ、単価が安いのもメリットとして挙げられます。

ただ、デメリットのところで記載しますが、安いといえども個人では手が出しづらいです。

ともあれ、強くて長続きする香りが安く手に入るなんて、現代科学の進歩を感じますね。


合成香料のデメリット
合成香料は、天然香料と比べて香りが単調になりやすいのがデメリットです。
その理由の一つとして、合成香料はそもそも特定の目的があって生み出されたものであるから、というのが挙げられます。

合成香料は、柑橘系の爽やかな香り、ローズの華やかな香り、ムスクの甘い香りといったように、天然香料の香りを参考にして作られます。
そのため、特徴がより伝わりやすいようにと、それぞれの香りの目立つ部分を再現するため開発が進められてきました。

つまり、天然香料のような奥行きのある香りというよりは、特定の香りが強くしっかりと香るよう設計されてきた、という背景があります。

もちろん、香水などはこれら合成香料を組み合わせて作られることも多く、技術があれば天然香料に負けない良い香りを作ることができます。
ですが、慣れていないと上手く調香できず、一つの香りだけが飛び出した少し物足りない香りになりやすいです。

また、購入が難しいこともデメリットです。
先ほど書いたように確かに安価ではあるのですが、基本的に「薄利多売」の業態となっています。
合成香料は大量生産されるため、香料を扱う会社向けに大量販売するという流れがほとんどで、個人で欲しい場合も大量購入が原則となってしまいます。
(最近はネットで小売りも増えてはいますが…)

さらには、種類が豊富過ぎて、香りを使いこなすにはたくさんの名前を覚える必要があります。
大量購入かつ種類もたくさん覚えなければとあっては、やはり個人で扱うには少しばかり手に余る、というのが正直な感想です。


お互いに対極のようなこの2つの香料、最後にそれぞれの特徴を比較表にしたものを貼って終わりにしたいと思います!


まとめ
今回は、天然香料と合成香料について詳しく解説しました!
一言に芳香剤や香水と言っても、その中には様々な香り成分が含まれていることがお分かりいただけたかと思います。

また最近では、天然香料にら身体への良い影響があると示す研究結果もあり、精油を日常生活に取り入れることが注目され始めています。

公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)のサイト上には、精油の作用についてまとめたページがあります。
他にも分かりやすくまとめた企業さんのホームページや、AEAJが発行する論文誌アロマテラピー学雑誌なんかもあります。
気になる方はぜひ一度調べてみてください!

まだまだ未知の部分も多い香りの世界。
皆さまも香り選びの際はそれぞれの特徴を知っておき、ご自身に合った香りを愉しんでくださいね!