2024/02/16 10:57

精油は、心の調子や身体のバランスを整えてくれる。
そんな研究結果があるのをご存知でしょうか。

精油とは、天然香料だけで構成された自然由来の抽出液のことで、エッセンシャルオイルとも呼ばれます。

それを勧めている人がいるのは聞いたことはあるけど…なんか怪しい…。
チャクラがどうとか言ってるし、スピリチュアルの類じゃないの?
と、少し警戒している方も多いのではないでしょうか。

また、興味はあるけど、ネットで調べても何がホントで何がウソか分からなくてさ、という方もいらっしゃると思います。

今回は、そんな方々に向けて…。
精油にどんな効果があるのか、ということをまとめてみました!

納得のいく根拠を示すため、まずは香りが脳に伝わる仕組みを簡単に解説したいと思います。
そして、実際の研究結果をいくつかご紹介し、精油の魅力を伝えることができれば、と思っております。

できるだけサクッと読めるよう、説明の文章量をなるべく減らしてお届けします。
少し分かりにくいかもしれませんが、どうかご容赦ください。

情報で溢れる現代社会。
皆さまが貴重な時間をできるだけ使わず、へーなるほど、意外と精油っていいんじゃない?と感じてもらえたなら幸いです。

それではスタート!


香りが伝わる仕組み
では、香りが脳に伝わる仕組みを簡単に解説していきます!
ここを読んでいただくと、精油がなぜ心や身体に効果あると言われるのか、少し理解していただけると思います。

私たちは日々の生活の中で、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)を用いて様々な情報を得ています。
このとき、外部からの刺激は神経を通り、脳の大脳新皮質という部分に届きます。

届いた情報は処理されて感覚を司る部分に伝わり、そこで初めて感覚というものが生じます。
そして、感覚が生じると、その情報がまた様々な部分に伝達され、判断や予測など次のステップに移行するという流れになります。

これが、脳の中で起きている、感覚の伝達経路です。
大脳新皮質は、感覚などをもとに様々なことを考える、理性的な領域だと言われています。

ですが、嗅覚だけは少し特殊です。
実は、嗅覚には上記に加えてもう一つの伝達経路があります。
それは、脳の大脳辺縁系という部分に直接情報が届く、という経路。

この大脳辺縁系には記憶を司る “ 海馬 ”、気分を司る “ 扁桃体 ” などがあり、本能や情動といった生き物として必要な働きをする、原始的な領域です。
また、自律神経系や免疫系を司る “ 視床下部 ”、ホルモン系を司る “ 下垂体 ” などがすぐ近くにあり、これらとお互いに強く影響を受け合い機能していることが分かっています。

香りを嗅ぐと、この大脳辺縁系やその周辺に直接情報が伝達されます。
すると、無意識のうちに心や身体のバランスを調整する機能に働きかけることになり、様々な効果が表れるという流れになります。


はい、難しい話は以上です!
つまり、この2つ目の伝達経路が嗅覚にはあるから、精油は心や身体に影響を与えるのだと考えられるわけですね!

文章がかなり専門用語のフルコースだったので、分かりやすいように略図を下に貼っておきます!

脳科学者から言わせると、本当はもっと複雑なことが起きているのですが、今回はこの辺りで説明を切り上げさせてください(ボロが出てしまうので…)。

こちらについて興味がある方は、また別の機会にもっと踏み込んで解説させていただきますので、お楽しみに。
(専門家の方、もし認識が間違えていればご指摘ください!)


では、それを知った上で…。
実際どんな効果があるのか、研究結果を見てみましょう!

今回は、公益社団法人 日本アロマ環境協会(以下、AEAJ)が発行する論文誌、アロマテラピー学雑誌に掲載されている情報をピックアップしました。

難しい論文とにらめっこしながら、私なりになるべく伝わるよう記載したつもりですが、もし内容に齟齬があればご容赦ください。


ベルガモット精油で睡眠の質が向上?
では、まずは1つ目の研究結果からです。

この研究では、成人男女19名を対象にベルガモット精油を用いた実験を行いました。
確認したのは、芳香環境(香りのある環境)での睡眠や、アロマテラピートリートメント後の睡眠で、睡眠の質が変化するかどうか。
実験前後で睡眠感や疲労感、不安感といった心理的効果と、心拍変動や睡眠中の体の動き、唾液といった生理的効果を測定しました。

すると、それぞれの実験後に “ 疲労感の体感 ” に改善がみられ、特に女性や不安傾向の強い人への効果が高かったそうです。
また、不安傾向の強い人には “ 睡眠効率 ” と “ 睡眠時の中途覚醒回数 ” にも改善がみられました。

これらの結果を踏まえ、ベルガモット精油には不安感を軽減させ、特に女性や不安度の高い人の睡眠の質を向上させる可能性がある、と結論づけています。


髪の毛やお肌にも効果あり?
次に2つ目の研究結果です。

こちらの研究では、40~50歳代の女性35名を対象として、更年期に差し掛かった年代の女性に対する精油の効果を調べました。
対象者をランダムに3つのグループに分け、それぞれが精製水(お水のこと)、カモミール・ローマン精油(1%希釈)、ゼラニウム精油(1%希釈)のいずれかを身につけて、約4週間過ごしました。
こちらも実験前後で様々な変化を確認しました。

結果は、2つの精油とも “ 肌と髪の潤い ” に対する実感スコアが増加したそうです。
また、ゼラニウムグループでは “ 抜け毛の少なさ ” スコアが増加し、“ 心理的な不安 ” が低減されました。

これらの結果を踏まえ、継続的にこれら2つの香りを纏うことで、肌や髪への実感効果が得られ、また、ゼラニウム精油には不安解消や気分向上などの心理的な効果もある、と結論づけています。


まとめ
いかがだったでしょうか?

今回は少し内容も難しく、説明が分かりにくかったかもしれません…。
ですが、精油の可能性に少し興味の出てきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本当はもっともっとたくさんの研究結果があるのですが、長くなってしまうので今回はこの辺りで。
興味のある方は、論文誌の方も覗いてみてくださいね!


精油は現代医学のように、薬を用いるわけではありません。
その代わり、皆さまに本来備わっている免疫力やホルモンの働きなど、自分の内なる力をサポートしてくれることが期待されています。

現代科学の力をもってしても、まだ全容が明らかになっていない香りの世界。
精油の持つ大きな力に、少しでも可能性を感じていただけたなら幸いです。

次回の記事では、精油を習慣として取り入れる簡単な方法をいくつかご紹介しますので、そちらの記事もぜひチェックしてみてくださいね!