2024/03/28 08:32


寒い冬が終わり、少しずつですが暖かくなってきましたね。

まだ少しひんやりとしながら、春の彩りを風が運んでくるこの季節が、私はとても好きです。
少しばかり風が強すぎる日も多いですが…。

さて、今回はそんな季節によって変化する、香りの感じ方について。
香りは季節や環境によって感じ方が大きく変わり、春夏は華やかな香りや爽やかな香りが、秋冬はウッディーな香りや甘い香りが好まれる傾向があります。
また、たとえ同じ香りでも、日によって感じ方が異なるなぁ…と思っている方もいらっしゃることでしょう。

いったいどうして、このような違いを感じるのでしょうか。
私たちの周りの環境と香りの関係について、簡単にご紹介したいと思います!


温度による違い
ではまず、温度による感じ方の違いから。
温度は、香りの揮発性に関係しています。

香り成分にはそれぞれ、粒子が液体から気体に変化しようとする揮発性という性質があり、揮発した粒子は空気中に浮遊して私たちの鼻に届きます。
このとき、温度が高いと粒子の運動エネルギーが活発になり、香りの揮発性が上がるため、温度が低いときと比べて香りを感じやすくなります。

例えば、香水をつける場所としてよく挙げられるのは、手首の内側や首周りなどですね。
ここには太い血管が流れていて、他の部位よりも表面温度が高いです。
そこに香水をつけることで揮発性が上がり、周囲が香りを感じやすくなるというわけですね。

また、服で隠れている胸元などにつけると、露出している部位よりも温められるため、体の内側からじんわり揮発します。
逆に、香りをそこまで拡げずに長く楽しみたいときは、体の末端で血液の届きにくいくるぶしなど、表面温度が上がりにくい部位につける手法があります。

それほど、温度と香りの揮発性は大きく関係している、ということを覚えておきましょう。
ちなみに、揮発については別の記事で詳しくまとめていますので、興味のある方はそちらも要チェックです!


湿度による違い
次に、湿度による違いについて。
湿度は、香りの濃淡に関係しています。

そもそも湿度が高いということは、空気中に浮遊している水蒸気の量が多いということです。
香り成分はその水蒸気に吸着してなかなか流れず、乾燥しているときよりその場に留まる時間が長くなります。
そのため、湿度が高いと香り自体が重たく濃厚に感じやすくなります。

また、動物の鼻は乾燥しているよりも、適度に湿度がある方が香りを感知しやすいそう。
粘膜が適度に湿っていることで、香り成分をキャッチしやすいからです。
犬の鼻が濡れている理由はこれですね。
そのこともあり、湿度は香りの濃淡に大きく影響するわけですね。


天気による違い
この温度と湿度に加え、天気が良い日とそうでない日の違いについても見ていきましょう。

晴れの日には雲がないという特徴があります。
雲は上空で水蒸気が冷やされ、目に見える状態になったものですので、空気にとっては濡れた蓋のような役割を果たします。

また、空気の温度は地上が最も高いため、温められると上に向かって流れます。
そのため、晴れの日のように雲がない場合は、香り成分もどんどん上空に昇るので感じにくくなってしまいます。
逆に、曇りや雨の日は雲が蓋をするため、地上の空気は上に昇りにくくなり、香り成分も逃げにくくなります。

気温や湿度が高いと一概に香りを感じやすいというわけではなく、天気によっても差が出るということを覚えておきましょう。


季節の違いは総合的に考える
では、この知識を踏まえ、季節による違いをまとめてみましょう。

日本の夏は暑くて湿度の高い、いわゆる高温多湿ですね。
そのため、香り成分はよく揮発し、なおかつその場によく留まるので、重たく濃厚に感じます。
ただ、晴れた日は雲に蓋をされていないので、少しその効果が減少するイメージになります。

逆に、冬は気温が低く乾燥しているので、香りは揮発しにくく軽やかに感じやすいです。

天気については、梅雨があったり台風が来たりと、雨が集中して降る時期があるのも特徴です。
このように天気の悪い日が続く時期は、全体的にどんよりしているという表現が使われます。
これは、さまざまな香りが留まっているため、香りが濃厚に感じる状態だから、という説もあったりします。
土や草の香りだけならまだしも、電車内で少し嫌なニオイがしたり、最近よく言われる「香害」なんかはこの時期によく聞くワードですね。

冒頭で述べた、季節ごとに好まれる傾向が異なるのは、まさにこれらを体感的に感じているから。
香りを感じやすい夏は軽い香りを、感じにくい冬は濃厚な香りをというように、皆さまは知らず知らず調整しているわけですね。

ですので、香水臭い人にならないためには、同じ香水でも夏は少し少なめに1プッシュで冬は2,3プッシュみたいに、季節によって使い分けるのが賢いかもしれませんね。


自宅での応用
では、せっかく当ショップで販売しているので…。
ディフューザーを用いて、室内空間で応用する場合についても記載させてください。

室内で気にしたいのは、天気は関係ないので最初に出てきた温度と湿度だけかと思います。
ただ、温度については冷暖房などの空調が効いているため、室温は夏でも冬でも大きくは変わらないことも多いです。
強いて言うなら、室温が高い方が香りは拡がりやすいですが、その分ディフューザーの寿命が縮みます。

私がよく気にしてほしいのは、湿度の方です。
特に冬は乾燥しているので、室温以上に乾燥対策が大切です。
オススメは、雑貨屋などで販売されている加湿器を買うこと。
私もこの冬、奮発して大きなタイプを購入しました!
これを置いておくだけで、香りの質は体感的に結構変わります。

逆に、夏に香りが少し強すぎると感じたら、エアコンのドライ機能や換気扇などを活用しましょう。
湿度や香り成分自体を減らしてあげると、ご自宅の重たい印象が減るはずです。


まとめ
今回は、香りの感じ方の違いについて解説しました!
確かにそんな気がする…と思っていただけるよう、なるべく具体例を交えながら説明したつもりですが、いかがだったでしょうか…。

実際にこれらを意識しながら生活していると、どれか一つの条件だけが異なる、ということはほとんどありません。
私たちの周りの環境は、それぞれが複雑に絡み合って作用していて、自然の奥深さを感じさせられます。

ですが、ふとしたタイミングで、香りをこんな感じにしたい!というシーンに必ず出会います。
そのとき、今回ご紹介した知識があなたの周りの “ 香り ” を少しだけ豊かにする。
そんな一助となれたなら幸いです。


ちなみに、社長が描いた今回の表紙は「迷路」になっています!
下に回答例を乗せておきますが、左上のスタート(S)から中央少し下のゴール(G)まで繋がっています。

迷路がお好きな方は、空いた時間にぜひやってみてくださいね!